家族は、構成する人間が生まれたり死んだりすることによって少しづつ変わって行く。虐待的な人間が死んで、これで終わりになるかと思ったら、その後釜に虐げられていると思っていた人間が座る。自分を虐げていた人間の劣化コピーになってしまった。当人にその自覚はないけれど。
果てし無く続くかと思われた家族の不健全なあり方も、おそらく母の死をもっておわる。母の後釜に座りたがる人間は見当たらない。家族の問題は三代続くと思う。おそらくアルコール依存症であった私の曽祖父は、かなりの問題行動を起こしていた。その息子である祖父、その息子の嫁である母、と続いてきたように思う。
私が生まれたのは、問題が破壊的になった時期を過ぎてからだった。私の祖父は怒りに任せて、自分の家を破壊してしまっていた。そしてそれを悔やんでいた。罪の意識というようなまともなものではなく、自分に権力を与えていたものを乱暴に扱って壊して後悔する、子供がお気に入りのおもちゃを壊して遊べなくなって悲しい、というレベルの悲しみ方だったが。
長い時間をかけて、一つの家族が消えていった。もちろんそれはすでに想像上の家族であり、ちりぢりになった血縁者たちは、それぞれの家庭を築いているのだから、幾つかの家族に変化しただけなのだ。しかしその想像上の家に私の祖父と、嫁にきた母は、捉えられていた。何かに取り憑かれて、ありもしないものをあることにしていた。
存在していないとしか私には思えないものが、祖父や母のなかに存在し続けた。それから得られる威光のような幻が見えていたのは祖父と母だけだった。幻と共に母があの世へと旅立ってくれるよう、誰かの心に幻を植え付けていかないように、私は母より先に死ぬ訳にはいかないのだ。
こんにちは
返信削除私、しばらくずっとプロメテウスさんって男性だと思っていました。
だってプロメテウスって男神だし文章も男性的な感じがしたし。
この黒いブログで心の闇を吐き出すと共に
その文章力を発揮されることを期待しています。
それと、映画「プロメテウス」を見ていなかったので
是非とも見なければと思いました。
ではでは。( ̄▽ ̄)ノ"